伝統の祭り次世代に コロナ禍の伝承芸能 曽根崎の獅子舞 3年ぶり復活【佐賀県鳥栖市】 (22/04/12 20:15)

伝統の祭り次世代に コロナ禍の伝承芸能 曽根崎の獅子舞 3年ぶり復活【佐賀県鳥栖市】 (22/04/12 20:15)

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新型コロナの影響で、佐賀県内でも各地の伝承芸能が中止となっています。「このままでは伝統が途絶えてしまう」。地域の誇りでもある伝統の祭りを次世代につなぐため、3月、3年ぶりに獅子舞を奉納した鳥栖市曽根崎町を取材しました。

【曽根崎町古典芸能保存会 古賀武文会長】
「伝承芸能だからやはり残していかないといけないからそれが一番心にあって」

3月27日に行われた鳥栖市曽根崎町に伝わる「曽根崎の獅子舞」です。
鉦や太鼓にあわせて2頭の獅子を獅子釣りと呼ばれる子供たちが操ります。

その歴史は古く、320年以上前からこの地区で受け継がれていて、鳥栖市の重要無形民俗文化財に指定されています。
しかし、こうした伝承芸能も新型コロナの影響で中止が相次ぎ、存続を心配する声も上がっています。

【曽根崎町古典芸能保存会 古賀武文会長】
「間が空いたら子供たちも忘れてしまうので、そういうことがやはり、これは引き継いでいかないといけないものだから、それが私は一番気になって」

本番まで1カ月に迫った2月。
地区の人が公民館に集まりました。
土地の悪霊を鎮め、豊作を祈願するため、毎年3月末に地元の老松宮で奉納されてきましたが、2021年と2020年は、中止。
2022年どうするか、話し合いました。

【地区の人】
「3月に限定せんでも、4月、5月にはできないか」
「コロナの状況がひどくなることを考えておかないといけない。一応そういうことでやることで。それでもしてもらいたか。そしてひどくなった場合は、回れなくなる恐れもある。鉦、太鼓、舞納めであげるか…難しいね」

話し合いの結果、これ以上、中止が続くと伝統が守れないと、2022年、3年ぶりの開催を決めました。

【曽根崎町古典芸能保存会 古賀武文会長】
「農家関係が昔は多かったので五穀豊穣を願って安全におさまるようにということでしていたので特に今回はコロナがあったからやっぱり早く収まるようにそれをお願いするためにもやはり今年はやった方がいいと思って、私が特にお願いして」

太鼓を出して準備するなど稽古が始まったのは本番の約2週間前。
掛け声を出しながら鉦を打つ大人は1つの鉦を2人で持ち、掛け声とともに、松の木で作ったバチで打ちます。
獅子釣りの動きや口上の練習、先代の子供が次の子供に太鼓を教える様子など獅子釣りは5・6歳くらい、太鼓は7・8歳くらい、どちらも男の子が担当します。
この2つの役は4年ごとに代替わりし、先代の子供が次の子供に教えるというやり方で代々受け継がれてきました。

Q太鼓叩いてみてどう？
「難しい。叩きにくいし重いし手に当たるし太鼓が」

Qお兄ちゃん達が叩いているのみてどう思った？
「たくさんあるのにいっぱい覚えててすごいと思った」

2年間中止だったため、教える子供も、3年前のことを思い出しながら伝えます。

Q初めて教える側になったがどう？
「想像より難しかった。教えようとしても意外と覚えてくれない。早く叩けるようになって2人で叩いてほしいな、本番」

稽古は午後7時から午後9時まで約2時間、毎日行われました。

【曽根崎町古典芸能保存会 古賀武文会長】
「きょうもみんな曽根崎の町民の健康と今年の豊作をお祈りして獅子舞を踊らせてもらうのでみなさんごゆっくりご鑑賞をお願いします」

Q獅子釣り上手く出来そう？
「がんばります」

感染対策による規模縮小のため舞は1度だけ。
演舞を披露する約40分間、鉦や太鼓の音にあわせて獅子と獅子釣りが舞を披露すると見物客からは大きな拍手が起きていました。

【見物客女性】
「興奮しました。2年間なかったからですね。でもあの小さな子供たちがよく覚えてますね、もうびっくりするくらい。楽しかった」

今年初めて太鼓を叩いた子供は…
「上手くできたと思います。来年はもっと上手にしたい」

規模を縮小したとはいえ、無事に舞を披露できたことに、地区の人も胸をなでおろしています。

【曽根崎町古典芸能保存会 古賀武文会長】
「みんなの協力で成功した。一生の思い出になる。私が元気な間、続けていこうと希望として考えているのでそれを実行していきたい」

コロナ禍で、伝承芸能をどう次世代に繋いでいくか、地区の模索が続いています。